「これだけ持てばOK」始める準備を最小限にするゆる習慣
忙しい日々に新しい習慣をプラスする難しさ
毎日を過ごす中で、「本当はこんなことにも時間を使いたいな」「こんな自分になりたいな」と感じる瞬間は、誰にでもあるのではないでしょうか。読書をする時間を持ちたい、軽い運動を始めたい、資格の勉強に取り組みたい、部屋を心地よく整えたい…。
でも、いざ「よし、やろう」と思っても、準備をするのが億劫だったり、まとまった時間が取れなかったりして、結局何も始められないまま一日が終わってしまう…。そんな経験はありませんか。完璧にやろうと意気込むほど、準備の段階でエネルギーを使い果たしてしまい、始める前に挫折してしまうことも少なくありません。
この記事では、そんな「始めるまでの準備」に焦点を当てて、忙しい日々でも無理なく続けられる「ゆるい習慣化」のアイデアをご紹介します。
なぜ「始める準備」が習慣のハードルになるのか
新しい習慣を始める時、私たちは無意識のうちにいくつかのハードルを乗り越えています。その中でも特に多くの人がつまずきやすいのが、「始めるための準備」です。
例えば、「運動しよう」と思ったとき、ウェアに着替えて、シューズを履いて、場所を確保して…といった一連の準備が必要です。読書なら、本を探して、飲み物を用意して、落ち着ける場所を作るかもしれません。これらの準備には、意外と時間や判断、そして「よし、やるぞ」という気合いが必要になります。
心や体に疲れがあるとき、この「準備」のステップが重く感じられ、結局「今日はやめておこう」となってしまいがちです。完璧に準備を整えてから始めようとすると、そのハードルはさらに高くなってしまいます。
「これだけ持てばOK」準備を最小限にするゆる習慣
そこで提案したいのが、「始めるための準備」を極限までシンプルにするアプローチです。ポイントは、「完璧なスタート地点」を作るのではなく、「とりあえず手に取る」「とりあえず場所に行くだけ」といった、最も最初の、物理的な一歩に焦点を当てることです。
具体的には、次のようなアイデアが考えられます。
- 運動したいな…と思ったら
- 難しいことは考えず、まずは運動ウェアを手に取るだけにしてみましょう。着替えなくても、タンスから出すだけでも構いません。「よし、着替えるぞ!」ではなく、「あ、ウェア、ここにあるな」と手に触れるだけ。
- 本を読みたいと思ったら
- 机に向かったり、静かな部屋に移動したりする必要はありません。読みたい本をソファやダイニングテーブルの上に置いておくだけ、または手に取って数ページめくるだけにしてみましょう。
- 勉強や書き物をしたいと思ったら
- ノートやパソコンを広げるのが億劫なら、まずはペンとノートを一冊だけ手に取るだけにしてみましょう。それらを机の上に置くだけでもOKです。
- 部屋を片付けたいと思ったら
- 完璧にキレイにしようとせず、まずは目に付いたモノを一つだけ手に取るだけにしてみましょう。「これをどこに置こうかな?」と考えるのはその後で構いません。
なぜ「これだけ持てばOK」が効果的なのか
このような「準備を最小限にする」方法は、なぜ習慣化につながりやすいのでしょうか。
- 圧倒的にハードルが低い: 「よし、〇〇を完璧にやるぞ!」という気合いが不要です。「これだけ持てばいいんだ」と思えれば、心にかかる負担がぐっと軽くなります。
- 行動への移行がスムーズ: 道具を手に取ったり、指定の場所に移動したりすることで、脳が自然と次の行動への準備を始めます。「持ったついでに、ちょっとだけやってみようかな」と、抵抗なく次のステップに進みやすくなります。
- できた自分を認めやすい: たとえそれ以上の行動に進めなくても、「今日はウェアを手に取ることができた」「本をテーブルに出せた」という小さな「できた」を積み重ねることができます。これが自己肯定感につながり、「また明日もやってみよう」という気持ちを育ててくれます。
- 完璧主義を手放せる: 「準備が完璧じゃないから始められない」という考え方から、「準備はこれだけで十分」という柔軟な考え方にシフトできます。これは、忙しい日々の中で習慣をゆるく続けるためにとても大切な心の持ち方です。
続けるための優しいヒント
「これだけ持てばOK」という習慣を続ける上で、いくつか心に留めておきたいことがあります。
- 持っただけで十分な日があってもいい: 道具を手に取った、場所に着いた。それだけでその日の目標クリア、と考えてしまいましょう。無理に次のステップに進む必要はありません。疲れている日、気が乗らない日は、「ここまでできた!」と自分を労って終了で大丈夫です。
- 「ついでに」少しだけやってみる: もし気が向いたら、手に取ったついでに少しだけ進めてみましょう。本を数ページ読む、ストレッチを1回だけする、モノを一つだけ指定の場所に戻す…。「少しだけ」なら抵抗なくできることが多いものです。
- できなかった日も気にしない: どんなにゆるい習慣でも、毎日完璧にこなすのは難しいものです。できなかった日があっても、自分を責めないでください。「昨日は無理だったけど、今日はこれだけ持ってみようかな」と、気負わずにまた始めれば良いのです。
- お気に入りのアイテムを使う: 手に取る道具や、移動する場所、そこで使うアイテムを、自分が心地よいと感じるものにしてみましょう。お気に入りのウェア、好きな香りのするペン、座り心地の良い椅子など、小さな工夫が「これだけ持つ(行く)」行動を少し楽しいものにしてくれます。
まとめ:小さな一歩が心地よい変化につながる
忙しい日々の中で新しい習慣を取り入れることは、決して簡単ではありません。「頑張って完璧にやろう」とすると、かえってプレッシャーになり、挫折につながりやすくなります。
ご紹介した「これだけ持てばOK」というアプローチは、そんな重い気持ちを軽くし、行動への最初のハードルをぐっと下げるためのものです。完璧な準備を目指すのではなく、「道具を手に取る」「場所に行くだけ」という、ごくごく小さな一歩から始めてみてください。
この「これだけ持つ」という行動が、無理なく毎日続けられる「ゆる習慣」のスイッチになります。そして、その小さな一歩の積み重ねが、気づかないうちにあなたの日常に心地よい変化をもたらしてくれるはずです。「これなら自分にもできそう」そう感じたら、まずは明日、「これだけ持てばOK」という、あなたのゆる習慣を始めてみませんか。