いつものアレがスイッチに!考える手間が省ける「モノ習慣」
忙しい毎日でも「これならできるかも」と思える習慣を
新しいことを始めてみたい気持ちはあるけれど、毎日の忙しさの中で時間を見つけるのも難しく、さらに「続ける」となると、つい構えてしまいませんか。完璧にやろうとして結局挫折してしまった経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
「頑張らなきゃ」「ちゃんとやらなきゃ」と思うほど、気が重くなって一歩が踏み出せなくなってしまうこともあります。でも、習慣化は何もストイックに取り組むことだけではありません。時間がない、エネルギーが湧かないという時でも、無理なく、そして考える手間なく始められる方法があるのです。
この記事では、あなたの身の回りにある「いつものアレ」をきっかけにして、自然と行動に移せる「モノ習慣」という考え方をご紹介します。完璧を目指さず、ゆるく、少しずつ取り入れてみませんか。
「モノ習慣」とは? 考える手間をなくすシンプルテクニック
「モノ習慣」とは、特定の場所にある特定の「モノ」を見る、触る、使うといった動作をきっかけ(トリガー)にして、特定の行動を促す習慣化のアイデアです。
例えば、「このマグカップを使ったら必ず水を一口飲む」「玄関のこの場所にある鍵を見たら深呼吸を一回する」といったように、身近なモノと簡単な行動を結びつけます。
この方法の最大のメリットは、「さあ、やろう」と意気込む必要がないことです。いつもの日常の中に溶け込んでいるモノが「行動のスイッチ」になるので、考えるよりも先に体が動きやすくなります。忙しくて思考力が落ちている時や、やる気が出ない時でも、「アレがあるから〇〇する」というシンプルな流れで行動に移りやすくなります。
身近な「モノ」をスイッチにするアイデア集
それでは、具体的にどのような「モノ習慣」が考えられるでしょうか。あなたの日常に合わせて、いくつか例をご紹介します。
1. 食事の準備中に:調味料の近くで軽いストレッチ
キッチンで特定の調味料を取るついでに、その場で簡単なストレッチや伸びを一度行う習慣です。例えば、塩コショウの近くに立つたびに肩を回す、など。
- 取り組みやすい理由: 毎日使うモノなので、スイッチとなる機会が多いです。場所移動も必要ありません。
- 小さな変化: 肩こりの軽減や、体の巡りが少しだけ良くなるのを感じられるかもしれません。
2. ソファでくつろぐ時に:クッションの隣に置いた本を1ページだけ読む
リラックスタイムに座るソファの決まった場所に、読みたい本を1冊置いておきます。ソファに座ってクッションに触れたら、隣にある本をパラパラと眺める、あるいは見開き1ページだけ読む習慣です。
- 取り組みやすい理由: リラックスしている時なので、新しい情報を受け入れやすいかもしれません。読む量を「1ページだけ」と極限まで減らすのがポイントです。
- 小さな変化: 毎日1ページでも、積み重なれば本1冊を読み終えることができます。少しずつ知識が増える喜びを感じられるでしょう。
3. PCやスマホを使う前に:画面の横に置いたノートに感謝を1つ書く
PCを開く前や、スマホを手に取ってSNSなどをチェックする前に、その横に置いてあるノートに、今日あった良かったことや感謝したいことを1つだけ書く習慣です。
- 取り組みやすい理由: デジタルデバイスを使う前に必ず目に入る場所に「書くモノ」をセットしておけば、意識しやすいです。書く内容は1つだけ、箇条書きでも構いません。
- 小さな変化: ポジティブな側面に目を向ける癖がつき、日常の小さな幸せに気づきやすくなります。心が穏やかになる時間を持つことができるでしょう。
4. 洗面台で顔を洗った後に:鏡の横に貼ったメモを見て笑顔を作る
顔を洗って鏡を見たときに、鏡の端などに貼った小さなメモ(例: 「笑顔」と一言)を見て、口角をキュッと上げて笑顔を作ってみる習慣です。
- 取り組みやすい理由: 毎日必ず使う場所、必ず見る場所なので、スイッチとして最適です。顔を拭くついでにサッとできます。
- 小さな変化: 表情筋がほぐれ、気分が少し明るくなる効果が期待できます。自分の表情に意識を向けるきっかけにもなります。
5. バッグの整理をする時に:特定のポーチを見たら不要なレシートを捨てる
バッグの中を整理する際、特定のポーチやアイテム(例えば鍵束など)を見たら、その場で不要なレシートを捨てる習慣です。捨てる場所も「このゴミ箱」と決めておくとスムーズです。
- 取り組みやすい理由: バッグの中は定期的に触る機会が多い場所です。特定のモノをスイッチにすることで、忘れがちな小さな整理行動を促せます。
- 小さな変化: バッグの中がスッキリし、探し物の時間が減ります。小さな達成感を得られるでしょう。
「モノ習慣」を心地よく続けるための考え方
「モノ習慣」を始めるにあたって大切なのは、「完璧でなくても大丈夫」という気持ちを持つことです。
- ハードルは最低限に: 最初は「モノを見るだけ」「モノに触れるだけ」でも構いません。行動は「1回だけ」「1分だけ」「1つだけ」のように、できる限りハードルを下げてください。
- できなかった日があっても気にしない: 忘れてしまったり、忙しすぎてできなかったりする日もあるでしょう。それは自然なことです。「また明日からやってみよう」と、気軽に再開すれば良いのです。自分を責める必要は全くありません。
- 心地よさを大切に: 義務感でやるのではなく、「これがあったら、ついでにこれもやっておこうかな」くらいの軽い気持ちで始めてみてください。もしその「モノ習慣」が自分に合わないと感じたら、別のモノや行動に替えても構いません。
- 小さな変化を意識する: 毎日劇的な変化がなくても、例えば「今日は水を一口多く飲めた」「ちょっとだけ本に触れた」という小さな「できた」に目を向けてみましょう。その積み重ねが、やがて心地よい変化につながります。
まとめ:考える手間を省いて、日々に小さな心地よさを
忙しい毎日の中で新しい習慣を取り入れるのは、確かにエネルギーがいります。でも、意気込んで大きな目標を立てるのではなく、身近な「モノ」をスイッチにして、考える手間なくできる「モノ習慣」から始めてみるのはいかがでしょうか。
特定のモノを見る、触る、使うといった何気ない日常の動作をきっかけに、ほんの少しだけ、あなたの心や体が喜ぶ行動をプラスしてみる。それは、あなたにとって「頑張っている」という感覚ではなく、「いつものこと」の一部になるかもしれません。
完璧に毎日できなくても大丈夫です。あなたのペースで、あなたにとって心地よい「モノ習慣」を見つけて、日々の生活に小さなゆとりと彩りを加えてみてください。きっと、気づかないうちに、心と体が少しずつ軽くなっているのを感じられるはずです。